企画・企画書のヒント−“なぜ”から考える65−なぜ、ユニクロのベルトは長さ調節がないのか?
それは“なぜ”なのか、理由がわかることで、見えてくることがある。あたりまえと思っていることでも、“なぜ”当たり前なのかはわからないことがある。そんな“なぜ”を、日常の世界から探し、考えることで、企画や企画書づくりのヒントにしようというのが、このシリーズの趣旨。
しかし、この、“なぜ”のその探究には、著者なりの主観や直観、推測、憶測、感覚、本能、そして何よりも企画マンとしての資質が含まれている。なので、読者の方は、ここに書かれていることを簡単に信じないで、自分なりにとらえ、解釈、思考、分析してから、自分の意見として採用するように。
●なぜ、ユニクロのベルトは長さ調節がないのか?
常識を疑うことが大切であることを教えているのである。
<見方>
ベルトというのは、長いものを買ってきて、自分の腰に巻いて、自分の腰のサイズに合わせて、バックルと穴の位置を合わせ、バックルの金具からベルトを外し、切って、切ったベルトをバックルにはめ、それから、ちょうどよいかどうかを確かめる。ちょうどよくないと、また、バックルからベルトを外し・・・。
ベルトを買うときは、買う前に、こんな作業を行うことを想定しているものだ。想定しているし、面倒だなとも思っている。でも、そういうものなのだと思っている。たまに、切りすぎたりして、目指した穴とあわなかったり、穴の間ぐらいが、ちょうどよかったり。まあ、大抵の場合、ちょうどよい長さにできない。
だから、ユニクロでベルトを買ってきたときに、そういう作業をしようと思った。と、バックルを見たら、ベルトが外せないではないか。え、これは? 一瞬、その意味がわからなかった。特にチェックしないで買ってしまったが、よく見ると、ベルトハンガーのところに「L」と書いてある。
わかった。あらかじめサイズが決められているのである。ジーンズの丈が選べるっていうやつと同じなのである。そうすると、自分は「L」でよいのか? 運がよかったせいか、腰に合わせると、ちょうどよかった。
ベルトをサイズで選ぶ、これは、想定していなかった。人のウエストサイズは、ある一定の範囲内にあるわけで、現物を実際みれば、S、M、L、2Lとかのいくつかのサイズを用意すればそれで足りるだろう。これなら、買ってすぐに使える。そんなことはかなり少ないと思うが、出先で、ベルトが壊れても、すぐに身につけられる。調節するあの手間がないのだから。
その上、バックルの金具のコストをおさえることができるから、商品を安く作れる。そして、品質は悪くない。こういうところが、やはりユニクロの強さなんだろう。さらに、ベルトみたいなところで人が持っている常識を、気づかせてくれることがとてもよい。
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