『自分づくりの文章術』清水良典著を読む
人にとって文章とは何か、
どのように大切なのか、
を親切に教えてくれている。
それを、本の最後のほうで
「文は人なり」ではなく、
「人は文なり」と
ひっくり返した言葉で表す。
そして、この本のキーワードは、
「純文章」である。
これは、著者の造語であるが、
小説の中の純文学とそれ以外の垣根をなくし、
小説とそれ以外の
エッセイとか詩、古典とかの境目を取りさり、
言語芸術とそれ以外の
メール文や手紙、メモを同じ文章として見ることである。
つまり、言葉によって表現される
あらゆる文章を、
純粋に文章として読むことである。
人は、
「自分のために、
自分の生を文という、
もうひとつの生に継ぎ足すために、
書くのである」。
「文章を書くことは、
現実の自分とはまた違う、
『内面』を作り上げることであり、
それによって別の『社会的な「私」』を
創造する行為なのである」。
よって、それは、小説だろうが、
メールやメモでも、同じ「純文章」なのである。
実際、この本では、高校生など「素人」の文章も、
たくさん取り上げられている。
小説の例もたくさん取り上げられているが、
それは、創造行為として多く自覚している小説のほうが、
取り上げたくなる文章が多いということである。
人とは、
「濃縮に言葉と文章の凝縮した繭のようにでき」ているのだ。
だからこそ、自分なりの文章術を身に付けなければならない。
ほとんどの人が、
普段なんとはなしに書いている文章だが、
文章とは何か、一度は本気で考えてみたい。
本書は、そのきっかけになるし、
それを考えることで、
何かが起きるかもしれない。
#読書時間 3.5時間
★5つ ★★★★★
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