『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる』佐々木俊尚著を読む
「情報のノイズの海の中から、特定のコンテキストを付与することによって新たな情報を生み出すという存在。それがキュレーター」ということです。
本書では、キュレーターによるキュレーションの価値を、さまざまな事例をもとに説明しています。
確かに、キュレーションはインターネットという場を通して重要性がましているということは言えていると思います。
ただ、私的にはキュレーションという概念そのものに、特に新しさを感じませんでした。つまり、キュレーションという言葉そのものの新しさでしかないということです。
本書の事例では、映画、音楽、絵画の世界でのキュレーションが説明されています。作品を発掘し、あるコンテキストの中に位置づけ、しかるべきメディアやチャネル、ビオトーブで流し、作品を流通、普及させてきたキュレーターによるキュレーション。
でも、これって、インターネット以前のもうずいぶん前の世界であっても、販売促進の代理店に勤めていたプランナーな私などは、毎日やっていたことです。
メーカーの商品を生活者に販売するために、どういうコンセプト、テーマを設定し、どのチャネルで、どうやって売るかをプランニングする(本書でいうコンテキストを作るです)という作業です。
これは、販促や広告業界だけでなく、不動産だろうが、自動車だろうが、すべての業界で実際に、昔から、そして今も行われていることでしょう。あまり表に出ないだけで。
ダイレクトにユーザーに届けられるインターネット時代においても、やはり、販売代理的機能は必要であり(アフィリエイトなどもそうでしょう)、それが本書のいうキュレーションなのです。
本書に価値があるとしたら、情報メディアにおいて、行為としてのキュレーション、人としてのキュレーターという新しい言葉を作り、スポットを当て、その価値を持ち上げてあげた、ということにおいてなのでしょう。
あ、たくさんの事例が紹介されているので、本としてのおもしろさはあります。
★3つ ★★★☆☆
キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
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