かつてであれば、「購買行動はファジーである」、
なんて言われていたが、本質的にはいまだそうであろう。
この本は、そんな消費者の購買行動について書いている。
ある商品が購買される理由について、
さまざまな理論やモデルから、説明される。
それは、ライフスタイルやパーソナリティ、
メディア、準拠集団、商品の関与度などなどである。
その説明の視点の多さが、この本のボリュームになっている。
その中で、iPodやコーラ、伊右衛門など
具体的な事例も豊富に出てくるのもわかりやすい。
これらを読んでいると、
確かに購買行動に影響するものは何であるかがわかる。
ただ、だからと言って購買行動が完璧に理解できるわけではない。
それは同じカテゴリーの似たような商品であっても、
デザインが好きとか、機能がよい、ブランドが好きというように、
そのブランドを選ぶ理由は人によって異なるからだ。
よって、同じカテゴリーの同じような商品であっても、
違う訴求ポイントが必要であり、
企業側からすれば、違うプロモーション活動が必要とされる。
このような本の意義は、
購買行動を見るときに、いろいろな視点があり、
いろいろな視点を知れば知るほど、
ある商品について、
深い見方ができるようになるということである。
それを、あなたが関係する商品で、
この本にある理論やモデルなどを使って、
いろいろ見方、有効な見方、考え方ができるかどうかが大切であり、
それができたら、この本はとても有意義である、と言える。
あと、購買行動というのは、
好き嫌いとか嬉しい、面倒だとか、
とても人らしさを表している行為である。
商品を買うときには、
自分でもあまり意識していないのだが、
こういうことを考えて、判断して買っているのか、
ということがわかる本になっている。
購買行動というのは、とてもおもしろい行為なのである。
★4つ ★★★★☆
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