企画・企画書のヒント−“なぜ”から考える48−なぜ、企画マンと営業マンはすれ違うのか?
それは“なぜ”なのか、理由がわかることで、見えてくることがある。あたりまえと思っていることでも、“なぜ”当たり前なのかはわからないことがある。そんな“なぜ”を、日常の世界から探し、考えることで、企画や企画書づくりのヒントにしようというのが、このシリーズの趣旨。
しかし、この、“なぜ”のその探究には、著者なりの主観や直観、推測、憶測、感覚、本能、そして何よりも企画マンとしての資質が含まれている。なので、読者の方は、ここに書かれていることを簡単に信じないで、自分なりにとらえ、解釈、思考、分析してから、自分の意見として採用するように。
●なぜ、企画マンと営業マンはすれ違うのか?
その依って立つ場所が違うからである。
<見方>
ほかの人の何倍も売上を上げる「できる営業マン」といわれる人がいる。クライアントのニーズを的確に見抜き、最短距離でそれを提供する。ムダなく、次々とこなしていくから、売上はますます上がる。そういう人は、思いつくこと、企画すること、実行することをほとんど同時に一人でやっていたりする。
こういう人は、企業にとってはとてもありがたい人だから、尊重される。優遇される。いい給料をもらえる。会社も、周りの人も、できる人と見るから、本人も当然そう思う。
しかし、こうしたできる営業マンと企画マンは、すれ違うことが多い。それは、なぜか。できる営業マンが、企画マンに求めるのは、それがすぐにお金になるかどうか、ということだからである。ここでも当然、最短距離を走るわけである。
企画マンにしてみると、企画を立てるにあたって重要なのは、コンセプトや戦略である。どういう商品やサービスであるかを自分なりに作り上げ、それをどう展開していくかをイメージしないと、企画など立てられない。だから、その作業を行い、それを営業マンとも調整したがる。
そうすると、その調整段階のものを見た、できる営業マンは「ノン」を出すのである。その意味は、お金にならないからである。しかし、それを調整しないことには、先に進めないと考えるのが企画マン。かくして、ここで作業は止まる。企画マンにすれば、できる営業マンとは、仕事をさせてくれない人となるのである。
できる営業マンの落とし穴は、きちんと組み立てて考えることをしなくなるということである。結局、思いつくこと、企画すること、実行することをほとんど同時にやってしまうことは、感覚、感性でやることと同じであるから、ほかの人と共同してやることが難しくなる。あるいは、ほかの人にやってもらうことができなくなる。そして、ほかの人ができないのを見て、できる営業マンは「できないやつ」と見る。かくして、できる営業マンは孤立化していく。これは、資本主義が持っている落とし穴ともいってよい。
企画マンと営業マンは、その依って立つ場所が違う。だから、すれ違う。これは仕方がないのである。しかし、ビジネスであれば、せめて相手の場所を見極めて、少しでも近づこうとすることである。企画マンであれ、営業マンであれ、自らを相手に近づけることしか解決法はないが、それはビジネスの基本的なことなのである。
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