『青年社長−若き起業家の熱き夢と挑戦』高杉良著を読む
居食屋『和民』で有名なワタミの社長、
渡邉美樹の実名小説。
話は、渡邉が小学校5年にして、
母を失い、父の会社の倒産をきっかけに、
将来絶対社長になると決意するところから始まる。
そして、事業が成長し、店頭公開、
株式上場までが描かれている。
その間、大学を卒業し、
佐川急便での過酷なセールスドライバー経験、
失恋からの大逆転結婚劇、
つぼ八石井社長との運命的な出会い、
手がけたつぼ八店の驚異的な売上達成、
サントリー白札屋FC店の失敗、
日本製粉との業務提携とすれ違い、折衝、
そして、お好み焼き唐変木やKei太の展開と撤退、
和民への業態変換と、
山あり谷ありの話が展開する。
渡邉の一貫した思いが、
よく描かれている。
いつも見守ってくれた
糸おばあちゃんの話が感動的である。
そうした中で、気になるのが、
高校時代からの友人でもあり、
創業メンバーでもある、
黒澤と金子の物語の中での変化である。
実名小説の中で、この2人、
とくに金子は、最後のほうで、
背信行為的なことをやったという
汚名まで着せられている。
創業時には、苦労を共にし、
がんばってきたのだが、
企業が大きくなるにつれ、
それに似合う能力が足りずに、
同意とは上、
役員から課長職へ降格されてしまうこともあった。
奮起を期待しつつも、
実力主義の企業なので、
当然のこととして扱われる。
黒澤は復帰できるが、
金子は復帰できなかった。
企業が大きくなり、
組織が複雑化すれば、
求められる能力のレベルは大きく上がる。
1店を経営することと、
大きな企業をマネジメントすることは、
まったく別のことである。
だから、
そのとき必要な能力をもった人間は、
それなりの能力をどこかで訓練してきた
外部から調達することになる。
それが、小説を離れて、
現在のワタミの実際の経営陣をみたときに、
創業メンバーがいないことになっているのだろう。
日本製粉との折衝において
資本の論理でさんざん苦労してきたはずのワタミは、
企業が大きくなるにつれ、
人材活用でやっているのは、
まさに資本の論理である。
金子は、
背信行為といわれた好物件条件を確保し、
独立して、自らの店舗を経営するとなっているが、
そうするしか道はなかったのである。
そこには、
夢を追い続けることによって、
失われた友情が見えなくもない。
その背景には、「体の重い亀」が、
いつのまにか、
資本の論理にしばられる体の重い亀、
なっていたりはしないのだろうか。
しかし、地球上で一番たくさんのありがとうを集めることを
スローガンにしているワタミだから、
20世紀型の資本の論理などは、
いつか乗り越えていくのだろう。
★4つ ★★★★☆
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