『身体感覚を取り戻す−腰・ハラ文化の再生』斎藤孝著を読む
斎藤孝って、
とてもすごい人なんですね。
テレビで肩入れしているところしか、
見ていなかったから、知らなかった。
この本は、
この10年ぐらいの私の読書生活の中で、
ベスト1かもしれない。
特に、前半の「腰ハラ文化」の
ところがすばらしい。
紹介したい話が、
たくさんありすぎる。
例えば、背負う技術。
最近は見かけなくなったが、
子どもが赤ちゃんをおんぶするという動作。
背中に背負うことで、
感じる重さは、
人に何かを背負うことの意味を教えてくれるという。
背負うことで、
バランス感覚を養ったり、足腰が強くなる以上に、
「腰を入れる」とか「踏ん張る」という言葉とともに、
あるいは、次世代を担うという意識にまで昇華しながら、
身体感覚として、強く人に刻まれるのである。
この本では、
身体感覚と言葉のつながりに着目する。
言葉には、身体感覚が生きているのである。
身体感覚を大切にするから、
それにふさわしい言葉ができたのである。
そのほか、立つ、歩く、座る、
練る、磨く、研ぐ、締める、絞るなどの技、
についても身体感覚が言葉とともに説明される。
説明に使われる写真もまた見事である。
お相撲さんや職人の立ち姿、
着物女性の歩き方、
ちゃぶ台を囲んで正座で座る家族の姿など。
これらは、美しさを超えて、
感動的ですらある。
これらの立居振舞で大切なのが、
人のおへその下あたりにある、
腰ハラを中心にとらえることである。
「渾身」という言葉、覚えておきたい。
頑張るではなく、渾身である。
しかし、生活様式の変化によって、
だれも知らないうちに、
腰ハラによる身体感覚が、
失われていっているのである。
だから、この本は、
便利さ、快適さ、楽しさばかりが
追求されていく現在の中で、
もう1度見直したいこと、
忘れてはいけないこと、
もっと着目したいこと、
を教えてくれているのである。
それだけでなく、私には、
現在の社会や文化、政治、経済、ビジネスの
さまざまな問題に対して、
人のあり方を考察することで、
1つの根本的な解決法を提示している、
特定ジャンルの枠を超えた思考の本だと思う。
★10コぐらいの価値のある本だと思う。
#読書時間 3.5時間
★5つ ★★★★★
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