自動車、家電の販売減と団塊世代
自動車、家電など、前年対比販売減のニュースが続いている。消費の減退と言えば、それで済んでしまうが、どうして、前年対比で何十%も販売が落ち込んでいるのか、というその理由は明確にはなっていない。
人口減社会の到来、消費経済の成熟、アメリカ型の消費社会の魅力の減退、サブプライムに端を発した金融危機問題、そして、企業のリストラの加速といった、さまざまな問題の結果であろう。そうした中で、もっと重視すべき点として、私が仮説として提示したいのが、団塊世代の消費市場からの離脱ではないだろうか、ということである。
日本だけでなく、もちろんアメリカにも存在する団塊世代。団塊世代の特徴は、その数の多さと、その欲望の強さである。団塊世代は、その圧倒的な数の欲望によって、自動車市場、家電市場の拡大を、大きく支えてきた。企業側も、もちろん、もっとも大きな市場である、団塊をねらってきたのである。それは、自動車、家電に限らず、住宅も食品も医薬品も、レジャーもあらゆる市場にわたっていた。そして、団塊世代は、それに応えてきた。
2007年問題というのがあった。団塊世代の一斉の退職によって、持っている技術やノウハウが企業から失われ、企業の能力が弱まるというものであった。しかし、実際には、2007年問題は、大きな問題になったことはなかった。
団塊世代の退職の問題というのは、企業の能力の問題ではなく、消費の問題だったのである。つまり、60歳をすぎて、年金世代となった団塊世代は、もう自動車も、家電も買わなくなってしまったのである。2007年問題というのは、大幅な消費量の減となって、今姿を現したのである。団塊引退後、第二の人生をねらったビジネスも、職場から離れた団塊世代に効き目は薄かったのかもしれない。
団塊世代の次として期待され続けた団塊ジュニアは、団塊世代のような強い欲望はもっていない。お金はあってもクルマは欲しくない。欲しくてもお金がなければ、がんばって稼ぐというより、買わないだけである。団塊世代の引退とともに、消費社会は終わろうとしているのかもしれない。消費を大きくけん引する層が見当たらない。
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