それは、著者のWeb2.0への関与の程度が、
説明の仕方に現れているからだと思う。
例えば、最初のほうで、Web2.0を知るには、
とにかくユーザーになってみることと説明されるが、
ユーザーは、Webの何のユーザーになればいいのか、
最後までわからない。
これは、タイトルの「ビジネスが変わる」が
読了しても何のことかわらない、
ということに通じている。
著者は、世界で一番小さな放送局「KNN」を
早くから運営している。
そして、この放送局の中で、
ジャーナリストという仕事を、
好きでやっていることがわかる。
だから、この「好きなことを仕事にする」を、
CGMを使うことでWeb2.0的なやり方として説明する。
CGMをWeb2.0的なものとして
説明することは正しいとしても、
随分と長いことやってしまっている著者自身にとっては、
Web2.0的なことは画期的なことでもなんでもないのだ。
こういったWeb2.0的な現象の意義が
著者にとって希薄であるがゆえに
Web2.0についての説明がわかりずらく、
そして、あいまいなまま進んでいくのである。
内容的には、
CGMによりプロとアマの境界線がなくなっていくとか、
ライブドアのパブリック・ジャーナリズムの意義とか、
広告やテレビなどの既存メディアの限界をとおして、
ジャーナリスティックな視点から、
Web2.0的なことが語られる。
しかし、それはつねに書かれていることの中に、
読者が、Web2.0的な現象やことは何かを、
その都度立ち止まって考えなければならないような
説明の仕方なのである。
本の冒頭では
Web2.0の概念がわからない人を対象にしている、
と書いてあるが、読了しても、
Web2.0とは何かと明確にイメージできる人は
少ないのではないだろうか?
この本はWeb2.0本というより、
著者の現状のWeb活用論、認識論といったほうがよい。
★2つ ★★☆☆☆
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