『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件』楠木建著を読む
戦略はとても重要な概念ですが、とらえどころがありません。さらに、優れた戦略となると、立案するのも実行するのも難しいものです。
そんな戦略や優れた戦略とはどういうものかをわかりやすく解説しているのが本書です。
著者は競争戦略、イノベーションについての学者ですが、学者、研究者ならではのものごとのとらえかた、分析力、ロジックを使って、優れた戦略論を展開しています。
ガリバーインターナショナル、スターバックス、マブチモーター、サウスウエスト航空、デルなどの豊富な事例を引きながら紹介してるので、実践を踏まえた理論としても理解しやくなっています。
本書は500ページという長さですが、強引に一言でまとめてしまうと、「優れた戦略とは思わず人に話したくなるストーリー」になると思います。
「話したくなるストーリー」とは、強さ、太さ、長さによって成り立ち、重要な要素として、コンセプトとキラーパスがあるというのです。
そして、本書で一番強調されているのが「クリティカルコア」でしょう。他社が真似のできない戦略の核ということですが、以下のような説明がなされます。
「ストーリーの戦略論は、部分的には合理的に見える要素が、他の要素との相互作用を通じて、ストーリー全体での合理性に転化するという論理」
「優れたストーリーは「賢者の盲点」を衝くことによって、ユニークな競争優位をもたらします」
全体をとおして、非常に優れた戦略分析の本だと思います。すべてのビジネスマンが読んでおきたい本になっています。
でも、この本読んで、この本のような戦略を立てられるようになる人はどのくらいいるのだろうかという疑問は当然起こります。しかし、優れた戦略は、1つでも多く知っておいて損になることはないでしょう。
ビジネスマンに、ある視点や着眼点を提供してくれているという意味で、とてもよい本だと思います。
★5つ ★★★★★
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