朝日新聞の全記事の中で一番楽しく、おもしろい記事が、
土曜日の別冊にあった島田雅彦の「文豪書簡」であった。
今週も読もうと思って、ページをめくったものの、
ないのを見て、先週連載が終了したのを思い出した。
朝日新聞というメディアの中のためなのか、
43歳?になって、
ひねくれさ加減の色があせたのか、
かつてほどのものがないその理由は私にはわからないが、
それでも「大人になったひねくれ者」の片鱗を
いつも垣間見せてくれたのは、
やはり島田雅彦ワールドだからであろう。
文学と呼ばれる作品を、
ここ何年も1冊も読んでいない私にとっては、
この「文豪書簡」と新聞などの書評ページのみが、
文学に触れるわずかな接点である。
出版不況や文学の衰退が叫ばれる中で、
この「文豪書簡」にも、
「文学とは何か?」という問いかけは、
当然随所に見られた。
そして、その問いかけに対する答えは、
「文学とはビジネスである」
というふうには、もちろんならない。
単純に考えれば、
文学が売れれば、文学には価値があるということであり、
「文学とは何か?」などと考える必要もない、
というビジネス的な発想が可能なはずである。
ただ、通常のビジネス的な考え方と違い、
そうはならないのが、文学たるゆえんだろう。
「文豪書簡」では、このビジネスとの違いを、
常に意識しながら「文学」を問いつづける姿勢があった。
とはいえ、文学とは何かを、
そう難しく結論づけているわけではない。
それは、島田雅彦的な世界では、
人の「愚かさ」「下品」「すけべ」ということを窮める
という説明ができるだろう。
そんな「文豪書簡」は、
朝日新聞の全記事の中でかなり異質であったといえる。
そして、だれが書いていたのかということが強力にわかる、
個性的な記事のトップだったということでもある。
そんな個性的な連載がなくなり、
土曜日の朝、新聞を読む楽しみが1つ減ってしまった・・・
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