それは、商品が競合的な環境におかれるがゆえに、
価格であったり、品質であったり、デザイン性であったり、
どこか1点が競合商品より優れている
ということを目指すからである。
これが商品ポジションであり、
マーケティング戦略の中心的な概念として、
その商品の強さになるのである。
といっても、その強さの商品を提供するのにあたり、
そのポジションにおいての、
できうる限りの完璧さは求められる。
それは、ネーミング、パッケージなど商品属性から、
マーケティング戦略、プロモーションの実施にいたるまで。
細かいところで考えれば、パッケージデザインなどは、
1ミリ以下の単位で位置が調整されるといってよい。
そのこだわりは、いやになるほど大変なものだ。
どの業界であれ、そこまでのこだわりが、大抵求められる。
ところで、Webの世界では、話が違ってくるようだ。
例えば、はてなが運営する
「はてラボ」というのがある。
#はてらぼ
http://hatelabo.jp/
サイトの「ご利用上の注意」にも書いてあるが、
「すべてが実験的なサービスです。完成度は総じて50%未満です」
と書いてある。
完成度が50%にも満たないのである。
いくら実験サイトとはいえ、ある程度名前が知れた会社が、
そんな中途半端なサービスを提供していいのだろうか?
ところで、
ある知り合いのマーケティング・プロデューサーから聞いたのは、
「Webの仕事はプロのやる仕事ではない、完成度が低い。
Webの仕事をやる人はダメになる。
だから、Webの仕事はやらない」と。
これは、商品に関するこだわりからWebを比較すれば、
あながち、間違いではない。
ただ、ちょっと視点をずらして、
この「はてらぼ」サイトの根底には、
どこかで読んだ近藤社長の「ユーザーがサービスを作る」
という考え方で見ておきたい。
冒頭の商品の話にしても、
マーケティング的に完成度が高い状態で
市場に出しても、ユーザーとのやり取りの中で、
いろいろ改良されていくものである。
いわば、ユーザー視点という点では同じである、
と見ることができる。
だとしたら、こだわり商品づくりと「はてラボ」の
境界線はなんであろうか?
それは、プロフェッシナルと素人の
境界線がますます低くなっている、
ということである。
実際、リアルマーケティングでも、
顧客をパートナーと見る考え方もある。
「はてらぼ」が教えてくれるのは、
いまどきのプロフェッシナルとは、
境界線がますます低くなっている、
ということをどう考えるかなのである。
そして、経営的には、完成度を高くしないで
リリースしておくことで、サービス化の可能性を探り、
リスクを低減するという機能も持っている。
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