私は物欲より知識欲のタイプだが、年をとるとますます物欲などなくなってくる。そんな私が、どうして食指を動かされてしまったのが、ケンジントンの新しいトラックボールSlimBlade Trackball(スリムブレードトラックボール) である。
SlimBlade Trackballが発売になっているのがしばらく気づかなかった。ケンジントンからは何年もトラックボールのフラッグシップモデルの新製品など出ていないし、新製品を発売しても派手な告知をしているわけでもないので、気づかないのである。
トラックボールというのは不思議なデバイスである。使っていてどこか未完成な感覚がある。どんな製品でもそうかもしれないが、トラックボールの場合は、いつもさわっているだけに、もっとよくなるはずだろうというような強烈な身体感覚がするのである。
だから、新しいものが発売されると、どのようによくなったのか無性に使いたくなる。加えて、前フラッグシップモデルのExpert Mouseで使用していたスクロールリングをなくし、ボールをひねるようにしてスクロールするという機能が新しく採用されている。このような機能をもつトラックボールはいまだ存在しない。
ケンジントンのフラッグシップモデルは、左右対称の美しいフォルムで、人を魅了するものがある。ケンジントンのフラッグシップモデルは、どのように進化したのか興味をとてもそそられるのである。
かくして、5年近く使い、多少ヘタってきているとはいえ、まだ現役で使えるExpert Mouseがあるにもかかわらず、ポインティングデバイスとしては高価なSlimBlade Trackballを、思わずポチっとしてしまったのである。
と、使い始めて2ヶ月あまり。以下評価してみると、
・スクロール機能
ボールをひねってスクロールするのは賛否両論だろう。ひねらなくてもボールの周辺にある金属部分をなぞるようにしてボールを回転させればスクロールすることはできる。私的には、Expert Mouseスクロールリングに比較すると少し上かなという感じ。だから、スクロールリングよりはよいが、はるかによいというわけではない。
・ボタン
SlimBlade Trackballのボタンは筐体と一体化していてスマートである。ただ、特に上2つのボタンがペコペコ感があり安っぽい。ボタンの感覚は、Expert Mouseのほうがよいようだ。右下ボタンも、必要もないのに押してしまうことがある。これは、構造的な問題か。
・ボール回り
ボールの回転を感知するルビー回りが平らになって、またボールの下に穴があいてゴミがたまりにくくなっている。この辺は改良されている。Expert Mouseのように頻繁に掃除しなくてもよいし、掃除も指でなぞるだけでゴミが取れる。
・ソフト
4つのボタンのうち、左上ボタンがサイトをいろいろにみれる機能を提供するビューモード、右上ボタンが音楽ソフトを扱えるメディアモードとして使えるようになっている。だが、上2つのボタン機能は私にはいらない。ブラウザの戻る機能のほうがよい。Expert Mouseのように戻るボタンとして使うには、最初のバージョンのソフトに非公式なパッチをあてないといけない。これは、早急に改良してもらいたい点である。
総評としては、Expert MouseよりSlimBladeのほうが上だと感じる。使い勝手も少し向上している。しかし、まだ未完成な感じがする。次回の新製品はいつ出るのだろうか?
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